私の母は少女である。72歳になる今でも、ずっと少女の心を持ち続けている。
体はもうおばあちゃんで、腰痛が私よりもひどくベッドでいつも横になっている。
最近は、痛みがひどくリハビリにも行けないし、外食も食べに行けない。
ずっと家にいるのも気が滅入るだろうと思い、私は母にちょっとしたお土産を買って帰ることが多い。
その中でシマエナガとクジラのぬいぐるみをプレゼントしたことがある。
シマエナガは母が「ひよちゃん」と名付けた。クジラは私が「くー助」と付けた。実はこのぬいぐるみたちは何と、話をすることが出来る。
今流行りのAI搭載のロボットのことかと思う方もいるだろう。私だっておしゃべりロボットを母に買ってあげたいと思う。しかし無職の私には無理な話だ。
どこにも行けない母に何か出来ることはないかと考えていたら、ふと思いついたのだ。
私がぬいぐるみの声でしゃべればいいんじゃないか!!
それから、私はシマエナガの「くーちゃん」とクジラの「くー助」の声で演じることになったのである。
「くーちゃん」は3歳の好奇心旺盛な優しい男の子。
「くー助」は9歳のしっかり者で心遣いの出来る男の子という設定だ。
私がぬいぐるみにアテレコをするようになって、母は楽しそうに会話をしてくれる。そして、もっとぬいぐるみがかわいくなったと言っていた。特にシマエナガの「ひよちゃん」がしゃべると、腕を伸ばして抱っこをしている。本当に少女みたいな母である。
芝居経験がこんなところで役に立つとは思ってもみなかった。経験したことは無駄にならないんだな・・・。
by nezuy
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