もうすぐ春だな、と感じる瞬間が増えてきました。
気づけば梅の花はすっかり散って、今は木蓮がきれいに咲いています。白や淡い紫の花が空に向かって広がっていて、まだ少し冷たい空気の中でもどこか力強さを感じます。
道を歩いていると、ふわっと甘い香りが漂ってくることがあります。沈丁花の香りです。
この匂いを感じると、「ああ、春が近づいているな」と毎年思います。個人的には、この季節いちばん好きな香りかもしれません。
花粉はつらいし、なんとなく落ち着かない季節でもあるけれど、
出会いや別れが重なるこの時期の、少しそわそわした空気も含めて、やっぱり春はいいなと思います。

そして、春といえば桜🌸
…なのですが、個人的には「桜餅」がかなり大きな楽しみです。
和菓子屋さんに桜餅が並びはじめると、「ああ、この季節きたな」と実感します。
私は関西風の桜餅、いわゆる道明寺が好きです。
もちっとした食感と、少し粒の残るあの感じ。あんことのバランスも絶妙で、つい選んでしまいます。

桜餅には、大きく分けて2種類あります。
関東風の「長命寺」と、関西風の「道明寺」です。
同じ名前なのに、見た目も材料もかなり違うのが面白いところです。

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関東風の長命寺は、薄く焼いた生地であんこをくるんだタイプ。
見た目はクレープのようで、しっとりやわらかいのが特徴です。
実はこれ、桜餅の元祖といわれています。
江戸時代、隅田川沿いにあった長命寺というお寺の門前で
売られていたのが始まりだそうです。
当時は近くに桜の木が多く、落ちた葉を塩漬けにして使ったのがきっかけ。
香りづけだけでなく、保存のための知恵でもあったといわれています。

一方で、関西の道明寺はまったく別のルーツを持っています。
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こちらは「道明寺粉」という材料から作られています。
もち米を蒸して乾燥させ、粗く砕いたもので、
もともとは保存食だったそうです。
それを戻して蒸すことで、あの独特の粒感と
もちっとした食感が生まれます。
つまり、食感そのものが歴史の名残なんですね。

さらに面白いのが、東西での違い。
関東では長命寺が一般的で、関西では道明寺が主流。
同じ「桜餅」と聞いても、思い浮かべる形が違うのはちょっとした文化の差です。
旅行先で食べ比べてみるのも、地味に楽しいポイントだったりします。

ちなみに、巻いてある桜の葉。
食べるかどうか迷う人も多いですが、あれは主に香りづけのためのもの。
塩漬けにすることで「クマリン」という成分が出て、あの独特の甘い香りになります。
無理に食べなくてもいいそうですが、
あのほんのりした塩気があんこの甘さとよく合うので、私はそのまま食べる派です。

こうしてみると、ただの季節のお菓子と思っていた桜餅にも、
意外としっかりした歴史と違いがあります。
春は少し落ち着かない季節だけど、
こういう小さな楽しみがあるだけで、少し気持ちがやわらぐ気がします。
今年はどっちの桜餅を食べようか、なんて考えながら。
やっぱり春はいいな、と思っています。

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