こんにちは、キャリカク一宮駅前の利用者「ファーストネームが K」 です。

最大最強の怪物テューポーンから逃れるためにナイル川に飛び込んだ牧神パーンが魚に化け損ねた姿、それがやぎ座です。
12星座をキーワードにギリシャ神話などを語ってみる新連載です。
概要は次の通りです。
♈おひつじ座:プリクソスの旅、アルゴー船物語、南極老人星
♉おうし座:エウローペーの旅、イーオーの彷徨、木星の衛星
♊ふたご座:四つ子、ディオスクーロイ(ゼウスの子たち)、オオクニヌシノミコト
♋かに座:双子、英雄の試練、婚姻神話
♌しし座:ネメアーの獅子、春の大曲線と大三角、熊にされたカリストー
♍おとめ座:地上の秩序、冥界の食べ物、見てはいけない
♎てんびん座:てんびんはごまかせない、天上の秩序、地道な正義
♏さそり座:星座が先か神話が先か、サソリの火、夏の大三角
♐いて座:不死のケンタウロス、アキレウスの養育、ヘーラクレースの過失、プロメーテウスの身代わり
♑やぎ座:牧神パーン、ペルセウスとアンドロメダー、スサノオノミコトとクシナダヒメ
♒みずがめ座:神々に愛された一族、トロース王の子ガニュメーデース、プリアモス王の弟ティートーノス
♓うお座:ヴィーナスとキューピッド、神々に愛された一族、ローマの建国神話
パーンは、ヤギの角と耳と足を持つ牧畜の神様で、古くから崇拝されていますが、昼寝の邪魔をされると怒って、人や家畜をパニックに陥れるとされています。「パニック」という言葉がそもそも「パーン」がもとになっているのだそうです。
最高神ゼウスが怪物テューポーンと戦ったとき、パーンに限らず他の神々は恐れをなしてエジプトまで逃げて、魚などに変身してナイル川に隠れたという伝説があります。牧歌的な神様であるパーンは、下半身だけ魚になって泳いで逃げたそうです。そんなこっけいな姿を星座に見立てるところからも、古代ギリシャでパーンが信仰を集め、なおかつ親しまれていたのだと想像できます。
ところで、私がこのブログを書くのに参考にしているアポロドーロスの本には牧神パーンについて書かれていないので、「秋の四辺形」(ペガスス座)をはさんでやぎ座と反対側にあるペルセウス座やアンドロメダ座に目を移してみたいと思います😓
「かに座」では、ヘーラクレースをはじめとする、ペルセウスとアンドロメダーの子孫たちが活躍する時代のお話をしました。実は、ポリュデウケースとカストールなど「ふたご座」の登場人物たちもペルセウスとアンドロメダーの子孫です。そして今回は、そのペルセウスとアンドロメダーのお話です。
アルゴス王アクリシオスの娘ダナエーと最高神ゼウスとのあいだに生まれたのがペルセウスです。アクリシオスは、将来ペルセウスに殺されるという神託を信じて、まだ赤ん坊のペルセウスをダナエーとともに追放します。彼らはセリーポス〔セリフォス〕島に漂着して、セリーポス王ポリュデクテースの兄弟ディクテュスに育てられます。ペルセウスが成人すると、ダナエーに恋慕していたポリュデクテースはペルセウスが邪魔になり、彼に怪物メドゥーサの首を持ってくるように命じます。事実上の追放です。
ペルセウスは、神様すなわちヘルメースとアテーナーに導かれて、冒険の途中で翼のあるサンダルなどのアイテムを得て、見事メドゥーサの首を手に入れました。そのとき、メドゥーサの体から有翼の馬ペーガソスが生まれたとされます。ペルセウスは、さらに空を飛んでエチオピアまで行き、エチオピア王ケーペウスと王妃カッシエペイアの娘アンドロメダーが、お化け鯨のいけにえにされそうになっているところに出くわしました。そこで、ペルセウスはお化け鯨を退治し、アンドロメダーと結ばれ、母ダナエーもともなってアルゴスに帰り、なんだかんだあって、隣国ティーリュンスの王様になりました。
ちなみに、ペルセウスはペルセウス座、アンドロメダーはアンドロメダ座、ケーペウスはケフェウス座、カッシエペイアはカシオペヤ座、ペーガソスはペガスス座、お化け鯨はくじら座だそうです。
「かに座」でも少しお話ししたように、ペルセウスとアンドロメダーの王子たちは各地の王族の祖先になります。その王子たちのひとりペルセースは、その名前がペルシャの語源にもなっています(「ペルセウス」と「ペルセース」は一文字違いです。誤字じゃないです)。神話には、史実とは異なるかもしれませんが、周辺地域とのつながりが反映されているのだと思います。「おひつじ座」でのプリクソスの旅、「おうし座」でのエウローペーの旅やイーオーの彷徨でもそうでした。
ペルセウスが祖国を追われ怪物を退治してアンドロメダーと結婚するというようなモチーフは、日本の神話にもあります。有名な、スサノオノミコトによるヤマタノオロチの退治がそれです。
「おとめ座」に登場したイザナギノミコトとイザナミノミコトの子であるスサノオノミコトは、父イザナギに海原を支配するよう命じられたにもかかわらず、亡き母イザナミに会いたいと泣き叫ぶばかりでちっとも仕事をしないので、怒られて追放されます。そこでスサノオは、天上すなわち高天の原を支配していた姉のアマテラスオオミカミに会いに行きますが、慢心から粗暴なふるまいを働いてしまい、高天の原も追放されてしまいます。
スサノオは、出雲の斐伊川上流に降りていったところ、アシナズチとテナズチの夫婦神が娘のクシナダヒメとともに泣いているところに出くわしました。聞くと、ヤマタノオロチへのいけにえにクシナダヒメを差し出さなければならないとのことでした。そしてスサノオは、見事ヤマタノオロチを退治して、クシナダヒメと結ばれました。
その後スサノオは、オオクニヌシノミコトに、娘のスセリビメとの結婚を許すとともに、地上の支配者になるよう命じます。オオクニヌシノミコトが各地の祖先神となったことは「ふたご座」で述べたとおりです。
ギリシャ神話は基本的に次の本を参考にしています。
アポロドーロス『ギリシア神話』(岩波書店)
これに載っていないお話についてはその都度明示するつもりです。
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