こんにちは、キャリカク一宮駅前の利用者「ファーストネームが K」 です。

正義の女神ディケーが持つ天秤、それがてんびん座です。
12星座をキーワードにギリシャ神話などを語ってみる新連載です。
概要は次の通りです。
♈おひつじ座:プリクソスの旅、アルゴー船物語、南極老人星
♉おうし座:エウローペーの旅、イーオーの彷徨、木星の衛星
♊ふたご座:四つ子、ディオスクーロイ(ゼウスの子たち)、オオクニヌシノミコト
♋かに座:双子、英雄の試練、婚姻神話
♌しし座:ネメアーの獅子、春の大曲線と大三角、熊にされたカリストー
♍おとめ座:地上の秩序、冥界の食べ物、見てはいけない
♎てんびん座:てんびんはごまかせない、天上の秩序、地道な正義
♏さそり座:星座が先か神話が先か、サソリの火、夏の大三角
♐いて座:不死のケンタウロス、アキレウスの養育、ヘーラクレースの過失、プロメーテウスの身代わり
♑やぎ座:牧神パーン、ペルセウスとアンドロメダー、スサノオノミコトとクシナダヒメ
♒みずがめ座:神々に愛された一族、トロース王の子ガニュメーデース、プリアモス王の弟ティートーノス
♓うお座:ヴィーナスとキューピッド、神々に愛された一族、ローマの建国神話
古今東西、てんびんは正義や公正といった概念と結びつけられてきました。同じく量を測る升(計量カップ)などでは上げ底をしたりすることでインチキできますが、てんびんによる計量にはインチキの入り込む余地がほとんどないからだと思われます。
古代ギリシャの詩人ホメーロスの作品『イーリアス』では、トロイア側に肩入れしたい最高神ゼウスが、トロイア軍の命運とギリシャ軍の命運とをてんびんに掛けて、トロイア側に戦局が傾くことを示してから、ギリシャの陣営に雷撃を打ち込むシーンが語られます。詩人のレトリックに茶々を入れるつもりはないですが、ズルじゃないことを証明するには神様よりてんびんのほうが、少なくとも凡人には信頼できると言えそうです。

古代ギリシャの詩人ヘーシオドスの作品『神統記』では、法が神格化された女神テミスがゼウスと結ばれて、季節の女神(ホーライ)とも呼ばれる3人の女神、平和(エイレーネー)、秩序(エウノミアー)、そして正義(ディケー)が生まれたと語られています。規則正しい季節の移り変わりを法・平和・秩序・正義などの概念と結びつけているのだろうと思います。
「おとめ座」の回で少し述べたように、星の女神アストライアーは正義の女神ディケーと同一視されているようですが、それは星の運行が規則正しく秩序だっていて、ヘーシオドスが秩序と正義を結びつけたことに関係しているのかもしれません。
「おとめ座」でも述べたように、農耕や牧畜を営むのに必要な、季節の移り変わりの規則正しさを豊穣神デーメーテールとその娘コレー(ペルセポネー)に託しています。
ヘーシオドスが面白いのは、季節(ホーライ)を正義(ディケー)にも結びつけていることだと思います。ヘーシオドスは彼の作品『仕事と日』において、「正義(ディケー)に耳を傾け、暴力は一切忘れ去れ」とうたっています。暴力で正義を通すのではなく、季節の規則正しさつまり秩序をよく知り日々の仕事(農耕)にいそしめば、平和に暮らせるのだから暴力などいらない、というのがヘーシオドスの言いたいことのようです。
今回の記事はあまり物語性がなかったですね。でも、残酷なシーンが少なくない神話の物語に嫌気がさしてきたら、ヘーシオドスを読むのもいいかもしれません😉
ギリシャ神話は基本的に次の本を参考にしています。
アポロドーロス『ギリシア神話』(岩波書店)
これに載っていないお話についてはその都度明示するつもりです。
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