「すみません、これ教えてもらえますか?」
「すみません、手伝ってもらって……」
「すみません、わざわざありがとうございます」
……あれ?
私、今日何回「すみません」って言ったんだろう。
日本では「すみません」という言葉、本当によく使いますよね。
謝るときはもちろん、誰かに何かをしてもらったとき、質問するとき、道を譲ってもらったときまで、つい「すみません」と言ってしまいます。
もちろん、「すみません」が悪い言葉というわけではありません。
本当に迷惑をかけてしまったときには、きちんと謝ることも大切です。
でも、感謝を伝えたい場面まで「すみません」になっていることって、意外と多いのではないでしょうか。
だったら、そのうちの一つを**「ありがとう」**に変えてみたらどうだろう。
今回は、そんな「ありがとう」について考えてみたいと思います。
例えば、仕事で分からないことがあり、先輩に教えてもらったとします。
「忙しいところ、すみませんでした」
もちろん、これでも気持ちは伝わります。
でも、
「忙しいところ、教えてくれてありがとうございました」
と言われたらどうでしょう。
言われた側も、
「教えてよかったな」
と、少し嬉しい気持ちになりませんか?
手伝ってもらったときも同じです。
「手伝わせちゃって、すみません」
ではなく、
「手伝ってくれて、ありがとうございます」
謝罪から始まる言葉と、感謝から始まる言葉。
同じ出来事について話していても、受け取る印象は少し違います。
そして何より、「ありがとう」と言った自分自身も、少し気持ちが前向きになるような気がします。
仕事をしていると、人に頼ることを申し訳なく感じることがあります。
「自分でやらなきゃ」
「こんなことで人の時間を使ってしまっていいのかな」
「迷惑をかけてしまった」
そんなふうに考えて、誰かに助けてもらうたびに「すみません」と言ってしまう。
でも、仕事は一人だけでするものではありません。
分からないことを教えてもらう。
忙しいときに手伝ってもらう。
逆に、自分が誰かを助ける日もある。
そうやって、お互いに支えながら仕事をしています。
前回の記事では、「仕事で『わからない』って言えますか?」というテーマについて書きました。
分からないことを質問して教えてもらったときも、
「こんなことを聞いてすみません」
だけで終わるより、
「教えてくれてありがとうございます」
と伝えられたら、次に質問するときの関係も少し変わるかもしれません。
私が働くキャリカクには、「感謝と称賛」の文化があります。
誰かがしてくれたことを当たり前にしない。
助けてもらったら、感謝を伝える。
誰かの良い行動に気づいたら、それを言葉にして伝える。
私は、この文化がとても大切だと思っています。
なぜなら、感謝は単に「相手を喜ばせるための言葉」ではないからです。
感謝しようとすると、まず相手を見る必要があります。
「あの人は、自分に何をしてくれたんだろう?」
「どこが助かったんだろう?」
「何が嬉しかったんだろう?」
そう考えることで、今まで当たり前だと思っていたことに気づけるようになります。
そして、もう一つ。
私は**「感謝は、成長への近道」**だと思っています。
相手の良いところに気づくと、
「自分もやってみよう」
と思えるからです。
例えば、質問したときに先輩がとても分かりやすく説明してくれた。
「ありがたいな」で終わるのもいい。
でも、
「なぜ、この人の説明は分かりやすかったんだろう?」
と考えてみる。
結論から話していた。
実際の例を出していた。
途中で「ここまで大丈夫?」と確認してくれていた。
そんな工夫に気づければ、今度は自分が誰かに教えるときに使うことができます。
つまり、
感謝する。 相手の良い行動に気づく。 称賛する。 その良さを自分にも取り入れてみる。
この繰り返しが、自分自身の成長にもつながっていく。
だから私は、「ありがとう」は相手のためだけの言葉ではないと思っています。
人間ですから、一緒に働いていれば相手の気になるところも見えてきます。
「あれをやってくれなかった」
「もっとこうしてほしかった」
「なんでこうするんだろう」
不満は、意識しなくても目に入りやすいものです。
だからこそ、意識して「ありがとう」を探してみる。
今日、誰かに助けてもらったことはなかったか。
誰かの仕事で「いいな」と思ったことはなかったか。
自分が当たり前だと思っていることを、誰かがやってくれていなかったか。
そうやって周りを見ると、同じ職場でも見える景色が少し変わってきます。
そして、
「ありがとう」
「助かりました」
「それ、すごくいいですね」
そんな言葉が飛び交う職場なら、きっと新しいことにも挑戦しやすくなると思います。
明日から「すみません」を全部禁止する必要はありません。
謝るべきときには、きちんと「すみません」と伝える。
でも、もし感謝を伝えたい場面で「すみません」と言いそうになったら、
「これ、“ありがとう”でもいいかも?」
と一度だけ考えてみてください。
「教えてくれて、ありがとうございます」
「手伝ってくれて、ありがとうございます」
「声をかけてくれて、ありがとうございます」
そして余裕があれば、
「説明が分かりやすかったです」
「あのとき声をかけてもらえて助かりました」
と、何が嬉しかったのかまで伝えてみる。
感謝することで、相手の良いところが見えてくる。
良いところが見えれば、称賛できる。
そして、その良さを自分自身にも取り入れることができる。
感謝は、成長への近道。
「ありがとう」は短い言葉ですが、自分にも相手にも、そして組織にも良い変化を生み出してくれる言葉なのかもしれません。
今日、「すみません」の代わりに一つだけ。
誰かに**「ありがとう」**を伝えてみませんか?
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