『ハイパーインフレーション』の住吉九先生が描く新作野球漫画『サンキューピッチ』。これが今、めちゃくちゃ面白いんです!
一見すると「制限付きの天才投手が奮闘するスポーツ熱血モノ」かと思いきや、蓋を開けてみれば「相手の精神を泥沼に叩き落とす心理戦&狂気の頭脳戦バトル」でした。
今回は、この作品がなぜこんなに中毒性抜群なのか、その魅力を語っていきます!
主人公の桐山は、投手として超高校級の凄まじい能力を持ちながら、怪我の後遺症で「1日に3球しか本気で投げられない」という絶望的なハンデを抱えています。
そんな彼をワンポイントリリーフ(ピンチで3球だけ投げる最終兵器)として迎え入れた公立高校野球部。 この超限定的なリソース「桐山の3球」をいかに有効活用して甲子園を目指すか、というカードゲームのような駆け引きが本作のベースになっています。
このチームの最大の特徴は、役割の異なる3人のブレーンがチームと試合をコントロールしている点です。
さらに、メインのエースピッチャーは優秀だけどメンタルに難あり。 「メンタル弱めのメインエース」と「最強だけど3球しか投げられない桐山」という凹凸のある2大戦力を、3人のブレーンが裏から操って勝利を力ずくで手繰り寄せていきます。
「1日3球しか投げられない」という情報は、相手チームには絶対の極秘。 そのため、桐山が省エネで投げた遅い球や温存の采配に対して、相手チームは勝手に深読みを始めます。
「なぜあの超高校級を温存するんだ…?」 「あの遅い球には何か恐ろしい罠があるんじゃないか…?」
裏の裏をかこうとして勝手に疑心暗鬼に陥り、自滅していく敵ベンチ。 「野球って相手のチームワークとメンタルを破壊するスポーツなんだな…」と錯覚させられるほどの展開は爆笑必至です!
そしてこの漫画、ぶっちゃけ一番のバケモンは主人公ではなくキャプテンの小堀です。
チームの結束(負けられない雰囲気)を高めるために、あえてレギュラーから落とした部員に涙を流させ、その感動と悔しさの空気すら戦略リソースとして利用する冷徹さ。やっていることが完全にサイコパスの領域です(笑)。
しかし、当の桐山は「野球に対してどこまでも純粋」。 チェンジアップの存在を知らずに「俺が考えた新魔球(スローストレート)」とドヤ顔で宣言したり、小堀の罠(レギュラー落ち演出)を見て「俺が身を引くべきだ…」とトンチンカンに思い詰めたりと、純粋ゆえのピュアなピエロっぷりを発揮してくれます。
この「小堀のド黒い狂気サイコ戦略」×「桐山のピュアすぎる圧倒的スペック」のギャップが完璧なコントとして機能していて、ページをめくる手が止まりません!
ここまで高度でイカれた頭脳戦が繰り広げられる本作ですが、野球に詳しくない人でも置いていかれない工夫がしっかりとされています。それが野球部顧問の阿川先生です。
この先生、完全に形だけの顧問で野球の知識が全くありません(笑)。 試合中に「これはどういうことなんだ?」と素直に疑問を投げかけてくれるため、読者である私たちの最強の代弁者として機能しています。
狂ったブレーンたちがその都度分かりやすく(そして恐ろしい理屈で)解説してくれるので、読み進めるうちに自然と野球の高度なルールや戦略が学べるのも本作の大きな魅力です!
ただのスポーツ漫画にとどまらず、限られた条件で盤面をひっくり返す高度な戦略性と、住吉九先生ならではのキレキレのテンポ&ギャグが詰まった『サンキューピッチ』。
1日3球のデフレリソースをめぐる極限の心理戦はもちろん、阿川先生と一緒に野球の奥深さを学べる作品としても本当におすすめです。ぜひ体験してみてください!

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