キャリカク浜松駅前の利用者、Tです。今回の記事は、企画が通ってくれたので、浜松駅前オフィスの副事業所長である後藤あいこ(ごとう・あいこ)さんへのインタビューを掲載します。
後藤さんは読者や文章執筆、学習など趣味の多い人です。猫と遊ぶことも好きだそうで、家で二匹の猫を飼っていると教えてくれました。「右から順に猫、私、旦那、猫で並んで毎日寝ている」と言っていて、想像するだけでなんかなごみますね。
そんな彼女とのインタビューを通して、私は「繊細さという強み」について考えさせられました。機会があれば記事とか関係なく、利用者として個人的にまたお話を伺いに行こうと思っていますが、「気づく力」がもたらす人生の違いを感じました。詳細はぜひ、このインタビュー記事を読んでみて考えていただけるとありがたいです。
今回も例に漏れず長い記事になると思いますが、お付き合いいただけると幸いです。では、インタビュー記事の方に参りましょう。
※写真撮影はお断りされましたので、写真がありません。容姿は、とてもかわいくて美しいとだけ記しておきます。見学に来て、ぜひ会ってみてください。
後藤あいこさん(取材時24歳・女性)は、内面に触れようとしてみると普段からは予想もしていないような繊細さが見えました。いつもニコニコしていて、優しいし、私からすると上手に生きているように見える後藤さん。しかし、彼女の自己評価は「容姿と性格を合わせて15点」というとても厳しいものでした。ほかの人への共感力は自分でも評価している一方、「お砂糖」と他人から呼ばれるほどの甘さが気になっているようです。「ほかの人よりいいところはない」と断言するほどに理想が高く、過去に体調を崩してお仕事を辞めたことがあるくらいに繊細です。
今までの人生で失敗だと思っていることは多いと言っていましたが、失敗が多くても努力をして生きてきたんだと感じさせるのが後藤さんです。私も失敗は多かったですし、それなりに努力はしてきたと思うのですが、肩書きなどに反映されないなどの人生に差が出ている理由は詰めの甘さだと思っています。
僕は、仕事中に思わず素が出ることもあります。また、日常の辛さを消しきれずに仕事へまで響かせてしまうこともあります。一方で、後藤さんは対処をしっかりして仕事に影響を出さない程度に収めることができている。大きな違いだと思います。
ただ「仕事以外まで完璧」とはいかないようです。インタビュー中に休日の過ごし方を聞いたところ、とにかく寝ると教えてくれました。また、ストレス発散法を聞いたときに「考えていることを殴り書きして、破いたり、泣いたりする」と感情で消化することを教えてくれたので、実際に家で実践しているのではなかろうかと思います。きっと、辛いことも背負いながらも、仕事以外の日常でため込んだことを処理して仕事を成立させているんでしょう。私はそんな後藤さんを尊敬しています。
仕事とプライベートのことを分けることができなくて、家では仕事用のパソコンを開かないなどの工夫をしているそうです。しかし、仕事とプライベートの両立は簡単ではありません。私も趣味と仕事が混ざってしまって、家で仕事しようとするタイプの人なのですごく気持ちがわかります。
尊敬するキャラクターとして『推しの子』のアイを挙げてた後藤さん。「自分を持っていて、自分の仕事とプライベートをしっかり分けた上で、仕事も両方できている人だから」と理由を語ってくれましたが、そのような仕事のできる人(本人曰く「しごでき」な人)を目指すからこそ、本人の中で目標に到達していなくても立派な社会人の姿を生んでいるのでしょう。まだ上が見えているのは成長していける素質なんだと思います。
マネジメントスクールの講師から言われた言葉だそうですが、最近で一番、心に響いた言葉はこの言葉だそうです。今まで利用者として話してきた限り、後藤さんは結果だけでなく、努力も認めてくれている人だと思います。しかし、自分自身に対しては結果を求めすぎてしまうそうです。「結果がしっかり出てないと自責してしまう」と言っており、どこか私に似たものを感じました。
後藤さんはしっかりと態度やしぐさ、目つきで気持ちを探り、言葉がどう響いたかを確認しながら話してくれます。その根底には自分が過去にされたかったことを相手にしようという気持ちがあるように感じました。
「繊細で他人の目を気にするような、真に受けやすい人ほど人から褒められる経験が少なく、ダメ出しばかり受けてきたのではないか」
後藤さんはそう言っていましたが、他人の意見で自分の価値観を決めてきた人の言葉に聞こえました。それは悪い意味じゃありません。「自分がない」って悩む人ほど、他人を大事にしている証拠であると言い換えることができるように、周りの人々から愛されようとしてきた人なんだと思います。自分を犠牲にしてまで尽くそうとする奉仕の心は、時折、心が痛くなりますが美しいものです。根性でどうにもならないような相性も、相手を否定することなく乗り越えてきたからこその包容力が彼女の魅力だと思いました。相手がどう思っているか推測して、遠慮していることさえも配慮する力を持ちたいですね。遠慮しているなら「遠慮しなくていいよ」と言うのではなく「一緒にしよう?」と提案するようなスキルは、これからも職員さんとしてそばにいてくれる彼女から学び取りたいと感じました。
「日報や仕事で書いてくれたブログなどに、名前は伏せていても自分のことをよく書いてくれている」
後藤さんは利用者さんから小さく褒められたことを凄く嬉しそうに語ってくれました。私からすると、とても些細な幸せです。しかし、そのような幸せを大きく喜べる感性が羨ましく感じました。
「小さなことが気になるのは元々の気質だ」と言っていましたが、小さなことで悲しむだけでなく、小さなことでしっかり喜べるので、繊細な心は素敵だと思います。私は小さいことを評価しない傾向があるので、小さな喜びなどは無視してしまいがちです。小さい失敗はとことん自責していじめ倒すのに大きな違いが生まれてしまっているので、教わらなければいけませんね。
最後のあたりになって職員としての後藤さんを真面目に伺ってみましたが、根本の優しさは変わりません。仕事をする上で知っておいたほうがいいことを聞いた時も「仕事場は学校じゃないので、友達作りや楽しいことを求めると辛くなります」と現実的なことを教えてくれました。普通の大人だったら夢のあることを教えそうな質問でしたが、しっかりと現実を教えてくれる部分が私からすると優しすぎると思います。
学生として過ごしてきて就職とともに社会人になった落差に苦しむ人は多いはずですが、誰もが苦しむはずの課題の一端をズバリと指摘する鋭さに憧れます。また、深い内容を惜しまずに教えてくれる優しさが素敵だと思います。実感が伴っていない言葉はあまり人生を変えませんが、言葉として知っているだけでも実感を生むきっかけになります。深いアドバイスは知っているだけで人生が変わることもあります。そのような深いアドバイスを教えることができるのは高い理想を持って励んできたからこそだと思います。
これは、後藤さんの言葉です。おそらく、職場は活躍できてこそ成立するんだという意味だと思います。稼ぎを増やすだけでなく、長く仕事を続けていくためにも自分に適切な職場を探す必要があるんだと感じました。
高評価を受けるコツを聞いたら「指示に従うことができる」「必要最小限の報告・連絡・相談ができる」の2つだと言っていました。ただ、シンプルな言葉であるがゆえに難しいのは間違いありません。
指示に従うには今までの思い込みに気づいて脱却する必要があります。「仕事は気楽だ」という思い込みがあったなら「仕事場は学校と同じじゃない」という真理にたどり着けないと社会から脱落しかねません。学生は教わる”客”の立場であるのに対し、社会人はサービスを提供する側なので当然です。
悩んできた人にとって気づけてすらいない「自分の中の前提的な思い込み」が「なぜ仕事がつらいのか」という問いに対して大きく影響します。気づいていない信条を曲げられずに、適応できないことも多い。私も経験したことなので、とても重くのしかかりました。上司や同僚は友達じゃないので、何でも話せばいいわけでもないです。時には雑談として話したことが重大に受け止められて、休みなさいと言われることもあるんです。(取材者が過去に経験したことです。)
報告・連絡・相談も闇雲にしてはいけないわけで、心構えが違うだけで社会に対しての適応具合が変わってきます。しかし、それを乗り越えて活躍して、初めて社会人として一人前になれるのでしょう。
職場は前述のとおり、学校ではないので「学ぶだけ」では適応できません。しっかり成果を出すなど、能力を生かすことで初めて社会人として認めてくれます。それは成長にも当てはまります。人間的な成長は知っているだけでは成立しないわけで、理想をどう体現するかにかかってきます。
そのような基本的なことさえも教えてくれないのが学校です。人生で学び取らないといけないことも多い。しかし、自力だけで学び取らなくてもいいのが現実です。後藤さんのように教えてくれる人を頼ったり、時には失敗してみたり。そのような過程を歩む必要性があります。そのような過程の一つとしてB型の作業所(特にキャリカク)があって、私はそのような道を歩んでよかったと思いました。
私はこれからも後藤さんのような職員の人たちとともに人生で学び取らなきゃいけなかったものを学びなおしていこうと思っています。少なくとも、キャリカクではそれができると思っています。悩んでいる人は、ぜひキャリカクも視野に入れていただけると幸いです。
私がよく他人に尋ねる質問として「自分をモノや動物に例えると何だと思いますか?」というものがあります。ご自身の特徴を端的に抜き取って教えてもらおうという意図で尋ねる質問なのですが、後藤さんは「思いつかない」と答えました。なので、最後に後藤さんを総括する意味も込めて、私なりに後藤さんのイメージを記しておこうと思います。
私が後藤さんと話してみて受け取ったイメージは「水中花」でした。水中花の説明は記事の末尾に書いておきますが、ビー玉などきらきら光るようなものと生花(または造花)を一緒に入れた透明な容器を水で満たすことで作られる伝統的なインテリアです。夏の季語でもあり、美しいですよ。
私が持ったイメージは、水中花の中でも手入れが必要になる生花のものです。害意ある言い方をするならば、造花と比べて長持ちもしないですし、水の汚れ方なども気になると思います。しかし、そうでなく、細やかな調整によって保たれているような、緊張感のある繊細な美しさを私は後藤さんから感じました。
美しいものにも色々あると思います。偶然に作られた美しさも合理的に作られた美しさも、どちらも良いと思います。ただ、美しいものは総じて「醜い」を排除していった先にあります。後藤さんに醜い部分がないと断定するほどの自信はないですが、インタビューだけでなく、利用者としてかかわった中で後藤さんは醜さを排除しようという努力を感じました。そのような努力は僕もしたいと思っているし、目標とすべき人だと思っています。

相変わらず、長々とすみません。後藤さんからのメッセージを示したうえで、この記事は終わりにしようと思います。お読みいただき、ありがとうございました。
参照:水中花とは?ハーバリウムとは違う?映える簡単な作り方もご紹介! | BOTANICA
水中花とは、水の中に花を沈めるフラワーアレンジメント。「サブマージフラワー」とも呼ぶ。江戸時代に中国から伝わったといわれており、もともとは酒の席での遊びとして楽しまれていた。「通草紙」という紙などで作られており、当時は、水や酒などに入れると花が開くものだった。その後、縁日などで売られて夏の風物詩となり、今でも夏の季語として親しまれている。透明な容器に入れて、ビー玉など光を反射するものを容器の底に敷き詰めたり、フローティングキャンドルや光るコースターなどで光らせることが多い。ミラーやキラキラとしたランチョンマットなどを敷くこともある。水は汚れが気になるときにだけ換えればよい。丈夫で長持ちする造花なら、扱いやすく手入れもほとんど不要。リアルさや高級感を追求したいときには、アーティフィシャルフラワー(生花をよりリアルに再現した造花)を使うとよい。
ハーバリウムは見た目が似ているが、使われる材料が異なる。水中花では水で周りを満たすが、ハーバリウムでは専用のオイルを使う。また、水中花は生花や造花などを使うが、ハーバリウムはドライフラワーやプリザーブドフラワーなど乾燥した花を使う。
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