こんにちは!キャリカク藤沢南口の利用者Cです。今回は三回目の読書レビューになります。お楽しみください。
誰にもない特別な能力が欲しいと思ったことが、あなたにはあるだろうか。私にはある。瀬尾まいこ著『掬えば手には』の主人公である梨木も、そんな「特別」が欲しかった普通の青年だ。
身長体重標準値、学力もスポーツもぴったり平均点の梨木。そんな彼は中学生のころ、誰にもない能力に気付いた。彼は、「人の心が読める」のである。不登校だったクラスメイト、三雲の初登校を助けたのがきっかけで、梨木はその能力を人のために使おうと、積極的に人助けをし始める。しかし、大学生になった梨木のバイト先に入ってきた女性、常盤の心はなぜか読めなくて──という導入だ。
両親も姉も才能が突出している中、何をやっても平均点なのが嫌な梨木は、その能力を喜んで使う。けれど、本当は「人の心が読める」というのは彼特有の超能力でもなんでもない。ただ「よく他人を観察して気付き、気遣うことができる」という、努力すれば誰にでもできそうな能力だった。中盤で、梨木はその事実に気付き愕然とする。
本当は、そんなわけないと私は知っている。他人なんて観察している人は少ないし、ましてやそれで他人の困りごとに気付いて気遣う人はさらに少ない。だから、梨木のしていることは非常に賞賛すべきことだと思う。周囲の空気よりも相手の気持ちを読んで動くことは、とても勇気のいる事だ。その優しさは当たり前のようだけれど、当たり前にできないことだと私は知っている。誰もが、自分一人でいっぱいいっぱいだから。周りから「優しい」とよく言われる私だって、常に他人に気を配ることなんてできない。他人に声掛けをするのには大きな勇気が必要で、それも誰もができることではないのだから。だから、梨木は実はとてもすごい主人公なのだ。
梨木は自分が「普通で何の特別な力もない」と思っているが、誰かのために率先して動くことが出来るのは、本当は誰にでもできることではない。その彼の優しさだって、救われた人々にとっては「特別」なのである。
思うに、「特別」とは必ずしも、「何かに優れた能力がある」などの目に見えるものだけではないのだろう。そんな、本人にとっては特別ではない梨木の言動に、私も勇気をもらった。

(画像は版元ドットコムよりお借りしました)
いかがでしたでしょうか。もしも興味を持たれたら、ぜひ読んでみてくださいね!

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