三国志探偵部の一話二部を書きます。
親父のいる病院に着くと、春だからか風が心地よかった。なんていうんだろうな、親父は三国志が好きで、三国志の本を沢山持ってる。
しかし、名前まで三国志の名前を入れなくてもいいのにな。更に親父は名前まで董卓に変えたからな。
どんだけ三国志好きなんだよ!
病室を開けると、親父が寝転がっていた。
「親父、大丈夫か?」
「なあに、これくらい大丈夫だ、劉備。曹操も元気そうだな。そういやあ、お前たち学校はどうだった? いじめとかないか?」
親父らしいな。確かに三国志が好きだけど、俺たちのことを気に掛けるところは相変わらずだな。
「大丈夫だよ、親父。それよりも起きてて大丈夫なのか?」
「馬鹿だな、大丈夫だよ。まあ、お前たちの顔が見れて良かったよ」
父さんは少し寂しそうに言う。
「早く治せよな。お袋も心配してたぞ」
「そうか、母さんも心配してたのか。母さんには心配かけてばかりだな。悪いと思っているよ……」
暫く親父と談笑をして別れた。その帰りのバスに乗っていると、玄貴からラインがあった。
「どうした? 玄貴」
「早く部室まで来てくれ。行方不明の相談だ……警察に行ったけど相手にされなかったみたいだ。美琴にも連絡したら来ると言ってたから、早く来てくれ」
「落ち着け、玄貴。わかった、今すぐ行くよ。内容はそれからだ」
「早く来いよ」
なんだろう、失踪事件って。まあ、俺たちの通う学校は中高一貫だから部活も引き続きできる。何回か殺人事件や色々な事件に出くわしてるからな。
警察も顔負けだ。だから刑事とのコネもある。
でも行方不明事件か……事務所に行かないとな。高校生がやっていても実力がある、だから依頼は来る。まあ、某アニメの探偵と同じと思ってくれればいい。
大抵は玄貴達でも解決できそうなんだけどな。それが無理ということは、相当難しい依頼なんだろうな。
事務所まで着くと、事務所の中に入ることにした。事務所の扉を開けると、依頼人と沙羅、玄貴、美琴が座っていた。
「で? 美琴までいるのに分からないのか?」
「百聞は一見に如かずだ。まあ、話を聞いていれば分かる」
そう言われたので席に着くことに。
「依頼内容は何です?」
そう言うと、依頼人がおどおどしながら話し始めた。
「私は鈴蘭佳奈美です。父が一か月行方不明なんです。もちろん警察にも相談しました。でも、その前に書置きで『佳奈美、俺はしばらく留守にする。直ぐ帰るから心配するな。もしかしたら帰れない日が続くと思う。でも心配するな』って書いてありましたから、警察は役に立たないんですよ」
まあ、書置きにそう書いてあるならな。書置きがなかったら行方不明になるのだろうがな。警察は動けないだろうな。
「出張の可能性はないとはわかってますけど聞きます、隠れて出張とかなかったですか?」
「はい! 父は出張の際は必ず母に伝えるはずなんですよ……そういえば! いなくなる前日に友達か釣り仲間に。俺のお陰で懐が暖まっているのに、『裏切りやがって』って言ってました」
懐が暖まっている? なにかお金でも渡していたのか? 口止め料として。それなら納得だけど……そんな簡単な話ではなさそうだ。懐が俺のお陰が気になるんだよな。確かに賄賂とも読める。でもそれは簡単すぎる。一か月帰ってない、最後の言葉が「裏切りやがって」だ。
賄賂でも通るだろう……でも限界があるはずだし……
「お金の管理は誰がしてるんです?」
「母です。通帳とか全部母がしています」
となると、お小遣い制だ。なら除外だな。賄賂には限界がある。父親自体が金を管理しているなら解決だ。でも実際は母親がしている……なら、その線は除外だな。
横領かもしれない、でもそうなると失踪の理由が分からない。渡しているのが父親の方なら、その口止めで殺したりするのは不自然だ。
お金がもらえなくなる。
「確かに難しいな……もしかすると闇金に手を出したとかもあり得ませんか?」
「あり得ませんよ、そんなの」
まあ、そうだろうな。
「わかったろ、曹操。口止め料か賄賂か知らないけど、もしそうなら殺される可能性はないし、生きている可能性がある……でも一か月だ。普通に何かあったとしか考えられない。佳奈美さん、お父さんの友達の名前分かりますか?」
「鶴巻海斗さんと。大山愛助さん、後は金島鶴彦さんの名前を言ってた気がします」
「お父さんの名前は?」
「鈴蘭勇人です」
候補はこの三人か……使いたくはなかったけど、あの手しかない。
僕は電話を掛けた。
「神山だが、曹操か? どうしたんだ?」
神山轟介刑事で、何回か手伝って仲良くなった刑事だ。
「鈴蘭勇人さんの件で少し協力してほしいんです。別に断ってもいいですけど、その場合もう二度と協力しませんよ」
「まったく。警察を脅すのはお前が初めてだよ、曹操……今、探偵事務所だろ? 今から行く」
その前に佳奈美の家に行くことにした。それは父親の行方を確認するためだ。
母親の痕跡と父親の痕跡はなかった、掃除が行き届いているんだな。あれ……靴がある?
「これは誰の靴だ?」
「母のです。母は靴は一足しか持ってないんですよ」
部屋を見る。そして父親の部屋には仕事カバンがあった。しかし、母親は不在みたいだった。慌ててたのかな? あと匂いが凄いな……何の匂いだ?
「父の荷物は全部あります。あと、あまり部屋を見ないでください……散らかっていて恥ずかしいので」
そう佳奈美がせかして、探偵事務所に戻る。
暫くすると神山さんが来た。
「おう! 遅れたな。それで何の用だ?」
「鈴蘭勇人さんの知り合いの、鶴巻さん、大山さん、金島さんの事情徴収をしてほしいんです」
「いきなり言われてもすぐにはい、なんて言えねえよ」
僕は全部話した。
「まあ、それなら色々な面もあるし、置き手紙がある、だから警察は動かなかったんだろうな。まあ、それなら協力できるな。ただ、あくまで事情聴取だ。それを忘れるなよ」
まずは鶴巻さんの家に来ている。
「なんすか、刑事さん」
「鈴蘭勇人さんの事なんだが、なんか知らねえのか? 例えば様子がおかしいとか」
「それなら知らないすよ。何かあったんですか?」
「例えば何か悪いことをしたとか」
「あいつ、色々と悪いことしてますからね。どこかにいるんじゃないですか? これで満足したました?」
確かに一か月前だから知らなくて当然だわな。
「そうですか……何か思い出したら教えてください」
「はい……勇人の事なら山吹大輔が何か知ってるかもしれませんね。あいつと仲いいですから」
山吹大輔。候補にはなかったけど、知り合いなら別だな。しかも仲がいいなら何か知ってるかもしれない。
それに懐が暖まっているのに、意味が分かるかもしれないな。そうでなくても、どこにいるか分かるはず。
「あなたは、山吹大輔さんですね。刑事です。なにか鈴蘭勇人さんのことで知ってることありますか?」
山吹さんはなにやら思案している様子だった。しかし、もしかしたら勇人さんはもう死んでる可能性がある。
「鶴巻と一緒にいるのを二ヶ月前の確か? 3月15日に見ましたよ。そこの現場にいましたから」
二ヶ月前……何かそこでトラブルでも起きたのか? 何で鶴巻さんはそのことを言わなかったんだ? 別に二ヶ月前なら、失踪とは無縁のような気がするのに。
「そのとき何をしていたか教えて貰えませんか」
山吹さんは少し思案した後……
「なにかのトラブルかな? お前は俺を売る気なのか? とか、お前は何で裏切るんだとか勇人は言ってましたね。それに対して鶴巻は、俺はお前の事を信用してないとか。でもいつもの喧嘩ですよ。度々そういうことあるんですよ、あの二人。」
二ヶ月前にその話。そして勇人さんの失踪になにか関係あるのか。
「私は思うけど、失踪だけじゃない気がするわ。いや、それ以前に鈴蘭さんのお父さんはも‗亡くなってる可能性もあるわ」
そりゃあ一か月も行方不明だ、死んでいてもおかしくない。しかし、そうなると……
「それなら私は別行動を取らせてもらうわ。私は私なりに事件を追うわ」
沙羅は驚いたように、こう言った。
「え~、美琴ちゃん別行動取るの~?」
「お前、俺たちと別行動取るってどういうことだ? お前らしくもない」
劉備がそう言う。確かに美琴らしくない。
「わからないのはあなたたちの方よ。もう行動を共にする必要がなくなったから。いや、意味がなくなったかな。」
「おい、待てよ。お前何で別行動取るんだよ」
俺の言葉に、美琴は呆れたように。
「言わなかった? 行動を共にする必要がなくなったの。まあ、意味かな。だから別行動取るの」
そう言って去る……美琴、どうして?
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