こんにちは! 今日はいつもと違って、少しだけ難しい話について書いてみようと思います。
うーんよくわからないな……と思った方は、眠くなる前にこの記事を読み飛ばして、とりあえずキャリカク藤が丘について参考になる他の記事を読みましょう!(皆さん面白い記事をたくさん書かれています。利用者の一人として、他の方が書かれた記事を読むことも楽しみの一つだったりします。作業の休憩時間に読むと、丁度良い気分転換になって大変楽しいです)
さて本題なのですが、皆さんは鶴の恩返しというお話を知っていますよね。
おじいさんに助けて貰った鶴が、人間の女の人になっておじいさんのお宅を訪ねてくる、あの話です。
「絶対にこの障子をあけてはなりませんよ」と言い、夜な夜な自分の羽根を使って見事な織物を織る……おそらく、知らない人は居ないのではないでしょうか。それくらい有名な昔話です。
また、昔話と言えば浦島太郎という話もあります。竜宮城に行った浦島太郎が地上に戻ってきてみると、竜宮城では少しだけの時間過ごしたはずだったのに、地上では遥かに長い年月が経っていて……驚いた浦島太郎が「絶対に開けてはならない」玉手箱を開けてしまうとみるみる年を取ってしまう、なんとも不思議な話。
私はこの、「絶対にしてはならない」ということが多くの国の昔話や神話において、重要に考えられていることに大変興味を持っています。
先ほどまで挙げたのは日本の昔話でしたが、世界各国の昔話・神話の中にも「絶対にしてはならない」ということを要とする話は頻出し、特にアイルランドに伝わるケルト神話においては「ゲッシュ」という言葉で一種の呪術のような効果まで持ちます。
地理的には日本とアイルランドは大変遠く、離れています。文化も食べ物もまるで違います。
しかし「絶対にしてはならない」という言葉が、かぎりなく長い時間を経て口承されてきた昔話で意味を持つのは、なにか大変面白いことではありませんか?
また他には、よく昔話や神話において「絶対に後ろを振り向いてはならない」という言葉も使われますよね。
例えば日本神話の、黄泉の国へ行ってしまった妻イザナミを夫のイザナギが現世へ連れ戻そうとする話。あの話でも「絶対に振り向いてはならない」とイザナミに言われたイザナギが、結局後ろを振り向いてしまって、イザナミを連れ戻すことに失敗します。
よく似た話はギリシャ神話にもあり、妻エウリュディケを冥府の国から連れ戻そうとした夫オルペウスが、やはり「絶対に後ろを振り向いてはならない」と言われたにも関わらず後ろを振り返り、エウリュディケを連れ戻すことに失敗します。
また妻を死者の国から連れ戻す、などの要素は省き、単純に「後ろを振り向いてはならない」だけの話でしたら、旧約聖書にもあります。ソドムの町が滅ぼされる際、後ろを振り向いてはならないと言われていたにも関わらず、ロトの妻であった女性は後ろを振り返ってしまったため、塩の柱になります。
これらの話は、伝達方法が豊富でなかった昔の時代に、国から国へ伝わったと考えるのは難しいでしょう。つまり、その国に住む人々たちが自分たちで考えた物語が、たまたま似たようなテーマを扱う話になった、と考えるのが自然なはずです。
では、何故テーマが似通っているのか……。これを説明するためには、少し難しい言葉ですが「集合的無意識」という概念を用いると、上手に理解することができます。この「集合的無意識」はユングという、昔の心理学者が提唱した言葉です。私たちの持つ無意識の中には先天的にある程度共通した意識がある≒つまり、全ての人間には生まれながら共通して持っている普遍的な無意識がある、といった意味の語です。
そのため、その集合的無意識が影響して、世界各地の国にモチーフが似た神話が多く存在する、というのが当時ユングがたどり着いた結論でした。
例えば「絶対に〇〇をしてはならない」「絶対に後ろを振り向いてはならない」など、その一つ一つの状況が、具体的にその集合的無意識の中の何に由来し、どんな意味を持つのかの正確な意味までは、現代の精神分析学では明らかになってはいません。
ただ私たちの中の、私たちには知覚できない部分の無意識が、私たち人間全てに共通した特別な意味を、きっとこの昔から伝えられてきた物語の中に感じ取っているのでしょう。自分でも全く気が付かないうちに。
更には、世界のどこにいる誰ともこの認識は繋がっていて、なおかつ過去や未来のどの時代にいる誰かともやはり認識が繋がっているんです。それはあまりに不思議で面白いものではありませんか?
普通であれば同じ環境だったり、同じ経験をしなければ、その物事に対する認識は似通らないはずです。しかし、この集合的無意識においては、人として生まれたらどこの国の誰もが、同じような認識をする……そんな不思議は何故起こるのか? そして、私たちが生きていくにおいて、その認識はどんな意味を持つのか?
あれこれ考えるばかりで結論は出ませんが、今はこんなことに興味があって、私はユング心理学の研究者の本を読んでいます。
皆さんも、自分が興味が持てることを楽しく調べて、ますます知識を深めていけますように。
それでは、長くなりましたが、良いお年を!
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