少しずつ、でも確かに蕾が膨らみ、花が開き……そんな季節を皆様いかがお過ごしでしょうか?(今日は道端に咲いていた菫色のビオラに思わず目を奪われてしまいました!)
ところで、キャリカク藤が丘では、お仕事をする際に利用者の方々から事前に募った作業用BGMを流すのですが……。これが私にとっては難しくって、毎月悩んでしまいます(もちろん、楽しいなあと思いながらの悩みなので、全然困っているわけではないんですけどね)。
好きな音楽がありすぎて、何からリクエストしたらいいのだろう……。そんな幸せな悩みをいつもしているわけですが、それでもなんとかピックアップした今月の三曲を、せっかくなので少しご紹介しようかと思います。
一曲目は「봄처녀(ポムチョニョ)」。선우정아(ソヌジョンア)さんという韓国のアーティストが歌う楽曲です。
タイトルの意味は「春の乙女」。ミュージックビデオも名前の通り、美しくってスタイリッシュな作品です。
多くの人は、韓国の音楽というとK-POPをイメージしがちかと思うのですが、このソヌジョンアさんという方は韓国のバラード歌手として有名な方です。……という私も、韓国のバラードについてそれ程知識はないのですが、韓国の音楽に対して分析をされている日本のライターの、まつもとたくおさんという方のおすすめで知りました。
少しだけ音楽の専門的な話をするのであれば、この曲には「サンプリング」という技術が使われています。この楽曲には「ンー、ンー、ンーンーンー」という決まったコーラスが楽曲中、何度も使われています。そしてこの楽曲のように同じフレーズを何度も繰り返し使うその技術のことを「サンプリング」と呼びます。音楽ジャンルで言えば、ハウスミュージックをはじめとした電子音楽などにサンプリングはよく使われていますね。
といっても、現代ではポップスにもサンプリングは非常によく使われているので、そこまで特別な技術ではありません。ですがこの曲のように印象的に、何度もサンプリングを使う曲は少し珍しいですね!
二曲目は「범 내려온다(ボム ネリョオンダ)」。이날치(イナルチ)という、こちらも韓国のバンドが歌う楽曲です。この曲のタイトルの意味は「虎が下りてくる」。韓国は自国を、動物の虎で表現することがあるのですが(1988年ソウルオリンピックのマスコットも、虎をイメージしたキャラクターでした)その表現の元となった伝統歌謡です。正確に言うなら、その伝統歌謡を更に現代風にバンドがアレンジしたのがこの楽曲ですね。
この楽曲の凄いところは、韓国の古典伝統音楽を、歌唱方法やメロディは全くそのままであるにも関わらず、バンドによる演奏やリズムの編曲によって一気に垢抜けたお洒落な楽曲に仕上げているところです。韓国はK-POP以外にもインディーズロック文化が活発な国でもあり、それこそインディーズロックの文脈で古典音楽を現代風に奏でています。
私たちの普段の会話をイメージして欲しいのですが……人が言葉を話すことって、それだけでリズミカルではありませんか? この楽曲も、まるで言葉を話すかのように歌われているのですが、それを複雑に絡み合わせることによって新しいリズム感、そしてグルーヴ感を生み出しています。
三曲目は「站在草原望北京」。中国に住むモンゴル族の歌手、烏蘭図雅さんが歌う楽曲です。
私は中国語はわからなくて……。この曲の読み方や歌詞の意味はちゃんと知りません。なので、この曲に関してはそれほど語れることはない、のですが!
皆さんは、モンゴルという国、そして中国の内モンゴルという地域についてご存知ですか?
ご存知ない方のために少しだけ説明しますと、モンゴルという国家があって、そのモンゴルと隣り合っている中国のモンゴル族の自治区が「内モンゴル」と呼ばれている地域です。両者は文化もよく似ているのですが、この曲を歌っている烏蘭図雅さんは内モンゴルの方です。
音楽的には前奏に、馬頭琴が使われているのが非常に特徴的ですね!(教科書にも載っていた、「スーホの白い馬」という物語に出てくる楽器、あれが馬頭琴です!)
さて長々と書いてしまいましたが、やっぱり民族音楽って良いですね。私が音楽をしている中で知り合った、民族音楽を探求している方は「世の中の音楽はポップスや西洋音楽が主流だけども、見方を変えればポップスも西洋音楽も一つの民族音楽と呼べる。インドの民族音楽やアフリカの民族音楽があるように、私たちが普段よく耳にする音楽も正しくは、西洋の民族音楽と呼ぶべきなんだ」という言葉が思い返されます。
たまたま世界のシェアは西洋の音楽に偏ってはいますが、そもそもが音楽ジャンルとしては全ての音楽が対等なんです。私はこの言葉が、目から鱗でした。
流行りのポップスを聞くことももちろん音楽体験として大事なことです。でも、たまには少しだけ異国の風に吹かれてみませんか? 未知の音楽に触れることは、楽しいことですよ!
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