暖かい陽ざしの日が続いていますね。徒歩で通勤しているとこのまま暖かい日が続けばいいのにと思ってしまいます。雪などは小さい頃こそワクワクしたものですが大人になると厄介に感じます。今年はあまり強い雪が降らないことを祈るばかりです。
さて話は変わりますが、昨年四月、とあるピアニストが亡くなりました。彼女の名前はフジコ・ヘミング。「リストを弾くために生まれてきた女」と言われるほど天才的技巧でかつ情熱的な弾き方をする演奏家でした。私が彼女と出会ったのはまだ保育園に通っていたころ。家に、とあるVHSがありました。『フジコ〜あるピアニストの軌跡〜』。遅咲きだった彼女がヒットするきっかけとなったNHKの特集でした。
ビデオの中では古ぼけた西洋風の家の中で、淡い白熱電球の下、彼女がピアノを弾く姿が映されていました。彼女の演奏には他のピアニストにはないものがあります。情景です。ピアノは音を合わせて弾くだけでも難しい楽器ですが、その先、演奏を通して何を表現するのか、フジコ・ヘミングの演奏にはその鮮やかな表現がありました。
彼女が弾く曲にラ・カンパネラという曲があります。リストが作曲したこの曲は普通に弾くだけでもかなりの難易度を誇ります。これは偏見ですが、数々のピアニストが「どうだ!俺はカンパネラが弾けるぞ!」という演奏をするなか、フジコの演奏にはその先がありました。カンパネラとは教会の鐘のこと。時刻を知らせる鐘の音の中、町が回っていく様子を表現した曲なのです。彼女の演奏を聴くとその情景がありありと浮かんでくるように思えました。
私は芝居を学んでいた時期があったのですが、その時にこの考え方を大事にしていました。芸術で最も重要な事は決して実力を誇示することではなく、その実力をもってお客さんに何を伝えるのか、何をテーマに表現するのかというところにあるということです。
彼女が亡くなって、私の中で一つ時代が変わったような感覚がありました。私は今でもお芝居にかかわることがあるのですが、彼女から学んだことをこれからも大切に実践していこうと思います。最後に彼女の名言をおいておきます。
「それでも私は、永遠に、永遠に生きて永遠に、弾くことは出来るわよ」
Y.N
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